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2012年1月15日日曜日

2012年1月

2012年 新年のご挨拶
― イノベーションの時代 ―

  『さんがつじゅういちにち』― まるで特殊な記号のような響きだ。
大晦日、遠く除夜の鐘を聞きながら、透き通った夜空に赤く輝く、いつ超新星爆発を起こすか分からないオリオン座のベテルギウスを仰いでいた。
終わりを告げることができない2011年は、2012年へと静かにバトンを渡した…。

明けましておめでとうございます。

  日本研究者ガバン・マコーリック氏(オーストラリア国立大学名誉教授)と『敗北を抱きしめて』の著者ジョン・ダワー氏(マサチューセッツ工科大学名誉教授=ピュリツァー賞受賞)との対談『2012巻頭言特集~震災後日本と世界の眼』(1月2日NHKBS1放映)は極めて示唆に富んでいました。

マコーリック氏は戦後日本の国策の柱を安保・経済成長主義・原発への依存と規定しています(核廃棄物大国となった「非核国家」日本-2007論文『プルトニウム超大国日本』では、日本の抱える原子力の問題を鋭く指摘しています)。そして、「自分たちの手でより良い世界が創れるという若者の信念が消え失せていたのが、大震災後、世界を変えるという信念が復活した」と語っています。
同様にダワー氏もこう述べています。「日本は世界史上唯一の核被爆国として国の基盤を作れるはずだったのに、反核運動で世界をリードすることはなかった。サンフランシスコ講和条約・日米安保条約(1951)を受け入れ、核の傘に入ることを選択してしまった。」「現在世界は資本主義の危機、民主主義の限界に直面している。危機の重大さは大きな転換のチャンスである。カタストロフィーが歴史の分岐点となり、そこでは国家戦略の崩壊が起きる。ここに『開かれたスペース』(=チャンスの窓)ができる。新しいビジョンが生まれ、未来について考えるチャンスが生まれる。一般の人々情熱がこのスペースを埋めるのだ。東北大震災では世界中から共感と称賛が与えられた。窓が開いてあらゆる摩擦が消えたのだ。人類として共通の問題に直面していることを感じてほしい。」と。

  実際、大震災後、多くの企業や民間人、NPOが現地入りをして支援活動を行っています。
「仮設住宅にふれあいの場がほしい」という声に、ハーバード大学大学院やマサチューセッツ工科大学の学生が集会所を作り上げたとのこと。

「共鳴する世界は国を超えて若い世代を巻き込む。同じ価値観や使命感を抱く人が自由につながっている」(1.1日経)「お上の支持を待つ従属型社会から、自由と自律を重んじる参加型社会へ。硬直したタテ型社会からしなやかなヨコ型社会へ」(1.2日経)移行しているのかもしれません。

「アラブの春」も「ウォール街占拠」も行動し変革を起こしたのは若者です。

元旦の日経一面トップでは『C世代駆ける』というタイトルで、「コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、コミュニティ(Community)を重視する。変化(Change) をいとわず、自分流を編み出す(Create)」世代を「C世代」と名付け、20年後の世界を背負う若者たちに期待を寄せています。
いつの時代もそうかもしれませんが、日本の将来に悲観的な20代以上に比べて、10代は今より良くなると答えるアンケート結果はある種の希望を感じます。
  技術立国を誇る日本は、やはり科学技術で未来を切り開いていくしかありません。実際、経済が厳しい時期に優れたイノベーションが登場していることは歴史が証明しています。

2001年の9.11同時多発テロから始まったこの10年は、「地獄の10年」(タイム誌)とも「ビッグ・ゼロ」(ポール・クルーグマン=ノーベル経済学賞受賞)とも呼ばれています。ビル・ゲイツも、この状況を次の10年で大きく改善するためには、創造的で画期的なアイデアが必要となるだろう、大事なのはイノベーションを継続することだと語っています。
ここで注意しなければならないのは、「イノベーション」は「技術革新」とよく訳されますが、広義には「ものごとを新しい進め方で、良い方向の変化をもたらすもの」であり、「問題解決のアイデアを生み出すこと」を指します。

  『20歳のときに知っておきたかったこと』の著者ティナ・シーリング女史(スタンフォード大学工学部テクノロジーベンチャープログラムのエグゼクティブ・ディレクター)による『スタンフォード白熱教室@大阪大学』(1月1・2日NHKEテレ放映)では、「常識を疑い、創造性を解き放て!」をテーマにしていました。
答えは一つではない、予定調和的な答えはない、新しいものを生み出す課題を大阪大学の学生たちにチャレンジさせ、イノベーションを生み出す力を引き出す参加型の授業。学生たちは「起業家は想像を超えるところから価値を生み出せる」という趣旨を十分に理解し、皆真剣に取り組み、真面目に考え、様々な発想で問題解決を図っていました。

  「成長社会から成熟社会へ」(1.1朝日)へと移行せざるを得ない時代において、新しい価値観を生み出さなければなりません。この社会を引き継ぎ担っていくのは若者です。新しい価値観を生み出せる若者を育てていくことは、今の大人の重要な役割の一つです。

当アカデミーの使命は、「コンストラクショニズム」に基づく教育を通して、子供の創造力と問題解決力を育成することに他なりません。この使命をしっかりと根底に置き、新しい教育への果敢なチャレンジを行っていきたいと思っております。
  本年もよろしくお願いいたします。

ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。―スティーブ・ジョブズ


【参考】
ガバン・マコーリック氏のブログ=http://peacephilosophy.blogspot.com/
ジョン・ダワー氏からの手紙=http://www.47news.jp/47topics/earthquake/1.html


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全チャレンジでトロフィー獲得!
― ロボカップジュニア2012関東ブロック ―


2011年12月18日にロボカップジュニア関東ブロック大会が開催されました。関東の各ノードから選抜されたチームが集結、ジャパンオープン出場の切符を手にすべく熱戦を繰り広げました。当アカデミーからは東東京ノード、神奈川・西東京ノードを勝ち抜いた全20チーム、49名が出場。全出場チームの20%を占めることになります。

  会場は初開催となる玉川大学工学部・玉川学園。玉川学園は、広大な敷地内に幼稚園から大学院まであり、科学教育やIT教育に力を入れています。開会式では、同大工学部機械情報システムが開発した@ホームリーグ出場ロボットが挨拶をするデモが行われました。


  ダンスチャレンジでは、練馬・日吉校混合チーム「Momotaro」が、緊張するパフォーマンス本番で、ほぼミスなく演技を披露。大差で優勝できました。

  サッカーAでは、ノード大会の勢いそのままに、ライトウェイトの優勝「カスタトロフィー」、準優勝「武匠」、第3位「ロボティクスツインズ」と、当アカデミーチームが表彰台を独占。オープンウェイトでも「ヴィクトリウス」が、自作マシンの開発に一層磨きをかけ、見事優勝。
今年Truthからは初挑戦のサッカーB「Ganamos」は、世界大会常連の競合チームに惨敗ながらも新たな課題、目標を見出せたようです。新しいことに果敢に挑戦する姿勢は立派です。

  レスキューAプライマリでは、「Amalgam」と「Super-Alloy」、当アカデミーの2チームが同点により優勝決定戦を繰り広げました。セカンダリ「NEUTRINO」は、準優勝を勝ち取るも被災者救出ならず。被災者救出はジャパンに持ち越しとなりました。初参戦となるレスキューB「3T Σ」は、迷路となっているフィールド内のどこを通過したか、ロボットに認識させる高度なマッピングプログラムを開発し挑戦しました。1回目は、プログラムミスにより得点が伸びませんでしたが、2回目で高得点を獲得し準優勝。


  今後、3/30-31に兵庫県尼崎市ベイコム総合体育館で開催されるロボカップジュニア2012ジャパンオープン(http://www.robocupjunior.jp/)への推薦チームが順次発表されます。推薦されたチームは6月のメキシコ世界大会(http://www.robocup2012.org/)を目指すことになります。引き続きご声援お願いします!

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キッズクリエーターⅡ教材がリニューアル
- 「シンプルマシンセット登場!」 ―


キッズクリエーターⅡ(小2~小3)では、これまで教室貸与のミニセット4種(「テコ」「車輪と車軸」「ギア」「滑車」)を主教材としてメカニズムの基礎を学習し、WeDo教材で学習した知識を生かした作品制作やプログラミングに取り組んできました。

  当アカデミーでは、このミニセットの学習を重視し、数年前に同教材が廃盤になっても、上記のようにオリジナルカリキュラムで進めてまいりました。しかし、このたびミニセットが復活!しかも4種を1セットにした「シンプルマシンセット」(7,140円)としてリニューアルされました。


  新年度(2012年4月~)から、キッズクリエーターⅡでは「シンプルマシンセット」を使用します。また、これまで通り、WeDo教材も副教材として使用。カリキュラム内容に大きな変更はありませんが、新しく発売された教材は、子どもたちの学習意欲を刺激することでしょう!